日々のアニメ便り

アニメやガジェットなどの雑記ブログ

魔法少女まどかマギカは暁美ほむらの物語である。

人生でこんなに感動した映画があったでしょうか。

それは新編 魔法少女まどかマギカ。寒い冬の夜、車を飛ばして何度もMOVIXに通いました。元日の夜もそこで過ごしました。たまるチケットの半券。それはこの映画への愛の証。今も手元にあります。

私の心の大半はこの映画でできています。

 

まず、この物語の主人公はまどかではなく、暁美ほむらであるということをしっかり覚えていてください。暁美ほむらの目にはまどかしか映らない。だから、この物語のまどかは暁美ほむらの目を通して描かれたまどかなのです。暁美ほむらの視線の中心はまどか、だからまどかが中心なのです。

 

 アニメで、最初に魔法少女ほむらがまどかの前に現れた場面を思い出してください。ほむらに追われたきゅうべいはまどかに助けを求めます。可愛らしいきゅうべいを助けようとまどかはほむらからきゅうべいを守ります。ほむらは、きゅうべいを差し出すことを要求します。このとき、まどかにはほむらが怖い魔女に見えたことでしょう。

 

 初見でこの場面をみると、どうしてもほむらが悪役に見えてしまいます。全てを見終えてこの場面を見返すと、ほむらの辛い心境がはっきりわかって、胸がきりきり痛みます。まどかを救うために魔法少女になったのに、まどかには怖い魔女に見えてしまう、嫌われてしまう、友達になんてなれないかもしれない。それでも、まどかに嫌われても怖がられても、まどかを守るためになら、悪役になっても、まどかの前に、まどかを救うために立つのです。嫌われても怖がられてもいい、まどかを守れるんだったら、まどかにどう思われてもいい、そんな強い思いで、まどかの前に立つのです。これって、ほむらの心境を考えたとき、わざと悪役を演じなければならない気持ちって、本当に胸が張り裂けそうですよね。本当は、まどかと仲良くしたい、おたがいに抱きしめ合いたいと思っているのに、こんな辛い役回りを引き受けなければならないなんて。

 暁美ほむらの心は強い。涙をこらえて、胸の痛みをこらえて、たったひとつ、まどかを守るために、悪役を演じるのです。

 最初は、ダークヒロインあらわるみたいな感じで、暁美ほむらが登場しますが、全部見終わってこの場面を見ると、暁美ほむらの心境がわかって、痛いほど胸が締め付けれれる気持ちになってしまいます。

 

 TVアニメ版が、暁美ほむらの愛の物語なら、新編は、ほむらの愛を応援する物語です。

 新編では最初に、5人がかっこよく同時に変身して、ナイトメアをやっつけます。TVアニメではありえなかった夢の世界です。ドラマを見た人が、もっと幸せになってくれたらと思った世界が実現しています。魔法少女が同時に変身して、同じ目的で相手をやっつける、まるで小さな女の子が憧れるプリキュアのような世界。TVアニメをみて、もし、そういうシーンが見られたらって思った人もいるでしょう。でも、TVアニメの世界は、憎しみと悲しみの繰り返す残酷な世界。魔法少女同士でも、プリキュアのように仲良しではいられない。お互いがお互いの利益のために生きる。そのためにそれぞれが命を対価に差し出して魔法少女になったのだから。だから最優先は己の願い。

 そうした世界にだからこそ、5人が仲良しである世界を夢見てしまうのです。もし、この5人が友達同士だったら。残酷な運命に導かれる5人の少女たち。彼女たちを待ち受ける残酷な運命を見るたびに、彼女たちが幸せに暮らす世界を夢見てしまうのです。

それが新編の前編で実現しています。それは映画の演出ではなく、私たちの望みだったように思えます。

 

 新編でのポイントはほむらのリボンです。TVアニメでは、最後にまどかから赤いリボンを渡されます。それが新編ではいつもの黒いカチューシャ。これは、新編での世界が、TVアニメの続きではないことを暗示しています。TVアニメの続きなら、まどかからもらった赤いリボンをしているはず。それが、この物語の行く末を暗示しています。

 

 夜の公園のベンチで、ほむらとまどかが語り合うシーンがあります。